進行:コスト縮減を前提に店舗視察
我々が店頭で販促物を拝見させていただく際、ヒトの流れ、モノの展示、ツールの機能、ツールの組立てやすさ、その他を軸に観察させていただきます。※実はツールの出来栄え(美粧性)はその他に分類されています。
課題でもあるコスト縮減を前提に拝見させて頂きました。
拝見した当時はちょうど夏に差し掛かるシーズン、当然クール系の商品とその機能を訴求する販促ツールが多い印象…とちょうどAOKI様のエアクールスーツを訴求するハンガーフック付きパネルが目に止まりました。
ハンガーフック付きパネルが上下別パーツ(パネル上下の両端をコの字部材で接合する仕様)で構成されていたのです。
販促ツールでコストを圧縮する際、大きく「企画・デザインコスト」、「製造コスト」、「梱包・配送コスト」を縮減対象として考えます。※他に保管コスト、ピッキングコストなどもあります。
パーツが増えると、梱包時の手間であったり、梱包サイズが大きくなったり、接合用パーツが追加されたり、開梱時の工数などヒト・モノのコストが余分に発生する可能性がございます。
定形印刷サイズを採用することによってパーツを複数に分割し、コストを縮減するケースはよく見られますが、接合パーツの種類よっては上下パーツが離れやすいものもあり、意図せず美粧性が損なわれてしまうものもあります。
定形の印刷サイズによってパーツを複数に分割しても「パーツのつなぎ方を変える」ことで、美粧性を損なわずコスト縮減という、AOKI様の課題達成に貢献できると考えました。
本件、当社は担当営業、設計、生産管理の3名体制で担当させていただきました。
まず社内工房にてハンガーフック付きパネルを再設計、原寸サイズでサンプルを作成し、ハンガーにスーツをかけて荷重テストを行いながら仕上げていきました。
成果:製造・配送コストを縮減、さらに…
ハンガーフック付きパネルのパーツは、従来サイズを再現するため2枚のパネルを用い、パネルのつなぎ目は、片方の印刷面を物理的に伸ばし、もう片方のパネルに被せるように貼付する「被せつなぎ」を採用しました。
これなら印刷面が繋がっているので(目を凝らさなければ)外見からは1枚で構成されたツールに見えます。
以前は2つのパネルを接合していたパーツも削減(資材コスト)でき、かつ配送時はパネル自体を2つ折りにし梱包サイズの長辺を約1/2に縮小を実現、配送コストの縮減も実現できました。
さらに再結成したハンガーフック付きパネルは「被せつなぎ」により接合時の隙間がなくなり、美粧性も向上も兼ねそなえることができました。
発見:Form ever follows function
米国の建築家 ルイス・サリヴァン氏の残した”Form ever follows function”(形態は常に機能に従う)を鑑みると、デザインや設計の秀麗さは、そのツールを取り巻く環境や問題解決、課題達成を突き詰めていくことで実現できるとも解釈できるのではないかと考えます。パーツを減らすことで、製造コストを縮減した結果、美粧性をも高めることができた設計冥利に尽きる事例です。
「問題・課題」と「解決・達成を支える技術」のマッチングが重要
弊社では自社工場にて日々切磋琢磨しながら技術を磨いているスタッフがおり、その技術力は本当に手前味噌で恐縮ですが損得なしにお披露目したくなるほど。今回ご紹介させていただいた「被せつなぎ」以外にも製造コストをおさえ、美粧性を高める技術がまだまだございますが、それをどこでどう活かすかを見極め、問題・課題に対し適切なマッチングを行うこともまた重要と考えます。
今、販促ツールの手配をご担当されていて、問題や課題をお抱えの販促ツールご担当者様、ぜひ一度お声がけください。問題や課題を伺い、現場を視察させていただくと「解決や達成の種」を見極める経験豊富なフタッフが伴走させていただきます。まずはお気軽にご連絡ください。